第17回百寿会の集い

 めいらくグループでは、皆様の健康長寿のお役立てとなるべく、「百歳まで元気に活躍しよう!」という趣旨のもと、平成10年に「百寿会」という会を設立いたしました。
 百寿会では、医師や健康に関する研究の第一人者を講師にお迎えし、「百寿会の集い」という健康に関する講演会を開催しております。
 今回は4名の講師をお招きして講演をしていただきました。

演題:身体活動の促進による認知症予防

講師:島田 裕之氏 (国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター、老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部 部長)

【講師紹介】

島田氏平成15年北里大学大学院博士課程を修了(リハビリテーション医学)。東京都老人総合研究所研究員、Prince of Wales Medical Research Institute(Sydney, Australia)客員研究員、日本学術振興会特別研究員、東京都健康長寿医療センター研究所を経て、現在は国立長寿医療研究センターに所属。名古屋大学、信州大学大学院の客員教授を併任。専門領域はリハビリテーション医学、老年学。高齢者の健康増進に関する研究を行っており、認知症予防や寝たきり予防を目指した高齢者の健康増進のための効果的なプログラムの作成と効果検証を実践している。近年では、日本医療研究開発機構や厚生労働省の研究班の代表研究者を複数務め、平成24年度介護保険制度改訂にともなう認知症予防プログラムの改訂、サルコペニアの定義に関する提言等に関与した。
<受賞>
第10回社団法人日本老年医学会優秀論文賞
Geriatrics and Gerontology International Best Article Awardなど。

【講演内容】

認知症の主な原因疾患はアルツハイマー病と脳血管疾患であるが、これらの疾患に対する根治療法や予防薬の開発が確立されていない現状において、認知症の発症を遅延させるための方法を検討し、できる限り多くの国民が予防対策を実践することが重要である。
予防対策を検討するためには、アルツハイマー病の発症と関連する要因を特定し、それらの要因に対して介入する必要がある。身体活動の低下は、アルツハイマー病発症の強力な要因であり、運動習慣の獲得が認知症予防のための課題であることが示唆されている。運動がアルツハイマー病予防に有効であるメカニズムに関する基礎研究は多く、いくつもの仮説が存在する。例えば、運動による神経新生、神経栄養因子の発現、アミロイドβクリアランスの向上などが動物実験で明らかにされてきた。近年では、人においても運動の実施により脳容量の増大が確認されており、運動によって過剰分泌する脳由来神経栄養因子と脳容量との関連が明らかにされ、認知症予防のための運動療法の重要性が認識されるようになった。
我々の研究グループは、軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)を有する高齢者308名を対象として、有酸素運動、筋力トレーニング、記憶と思考を賦活しながらの運動課題といった複合的なプログラムを10か月間実施した。その結果、全般的な認知機能の低下抑制、記憶力の向上や、脳萎縮の進行抑制効果が運動によって認められ、運動による認知症予防の可能性を明らかにした。これらは、先行的に実施した100名のMCI高齢者を対象としたRCTと同様の結果であった。また、MCIを有する高齢者に対する運動と薬物療法の効果を検証したシステマティックレビューによると運動では認知機能向上に対して有意な効果が確認されたが、薬物療法では効果が認められず、運動の優位性が確認されている。以上から、運動の実施はMCI高齢者の認知機能を保持、向上させる効果を有し、積極的な取り組みの実施が望まれる。

今後は、地域の運動施設、運動の指導者、および地域住民と行政とが協力体制を築いて、多くの高齢者が身体活動を向上させることが可能な環境の創出や多彩なプログラムを用意することが、サービス提供者にとっての課題であろう。また、これらの活動が認知症発症遅延に対して効果を持ち得るかを検証するための大規模サンプルでの検証が必要である。

演題:生体リズムと健康長寿

講師:清水 教永(のりなが)(大阪府立大学名誉教授 医学博士、一般社団法人 生活健康学研究所  理事長)

【講師紹介】

清水氏1949年滋賀県生まれ。医学博士(和歌山県立医科大学)。大阪府立大学名誉教授・客員教授。一般社団法人生活健康学研究所理事長。株式会社FUDAI学術顧問(大阪府立大学)。日本放射線ホルミシス協会理事。健康医科学や予防医学の視点から医療関係、スポーツ関係、衣料関係、飲料水関係などの企業顧問として健康・美容・睡眠に関わる製品の安全性と有用性の検証を行ない、独創的な視点から企業との連携によって製品開発を行なっている。

<著書>
「放射線ホルミシスで健康長寿」(実業之日本社)
「睡眠マネージメント」(㈱エヌ・ティ・エス)
「健康体温36.5度の生活術」(実業之日本社)など多数

【講演内容】

人間の生活環境には、地球自体の示す自然日周リズムと、機械時計による人工的日周リズムの2つがあります。生体リズムがこの2つのリズムに同調している時、肉体的にも精神的にも良好な状態といえます。これが健康にとって必要最低限の基盤であり、健康長寿への出発点となるのです。しかし、厳しい機械文明の中に生きている人間にとって、体内時計の優れた同期機能はきわめて困難になりつつあります。同期機能減衰は、生体リズムと環境リズムとの間にずれを生じさせ、それが健康への大きな障害になり始めております。
健やかに育ち、健やかに生活し、そして健やかに老いることは誰もが願い求めることです。そのためには、地球の歴史や生物の歴史と共に受け継いできた体内時計を強く意識することが大切です。そして優れた同期機能を長く維持することが健康長寿への約束となるでしょう。
本講演では、体内時計の場所やサーカディアンリズムのようなさまざまな生体リズムを紹介いただき、生体リズムが健康長寿の実現にいかに大切な意味をもつのかを詳しくお話いただきました。

演題:気功・太極拳の効用

講師:富永 祐民(すけたみ)(愛知県がんセンター 名誉総長、あいち健康プラザ 名誉センター長、百寿会評議員)

【講師紹介】

富永氏1937年 兵庫県姫路市生まれ
1962年 大阪大学医学部卒業
1967年 大阪大学大学院医学研究科修了
1967-1973年 米国メリーランド大学医学部助手、助教授を経て准教授
1974-1977年 厚生労働省、環境省勤務
1977-2001年 愛知県がんセンター研究所部長、副所長、所長
2001-2003年 愛知県がんセンター総長
2003-2007年 あいち健康の森健康科学総合センター(あいち健康プラザ)センター長
<受賞>
1989年 WHOゴールドメダル「たばこ対策の推進」
2003年 中日文化賞「がんの疫学・予防とたばこ対策の推進」
2007年 環境大臣表彰「環境保全に対する貢献」
2007年 日本禁煙科学会賞「禁煙科学の推進」
2012年 東海テレビ文化賞「がんの疫学研究とたばこ対策の推進」

【講演内容】

中国では約3000年も前から病気の予防、治療、長寿のために気功(導引術)が行われていた。気功は健康長寿のための保健医療気功、武術のための武術気功など、多くの種類、流派に分かれているが、本講演では、健康長寿、高齢者の転倒防止に役立つ太極拳、八段錦、練功などの保健医療気功について紹介していただきました。

太極拳:108種類もの動きの型があったが、毛沢東の呼びかけにより1956年に24の動きに絞った「簡化太極拳」が制定された。日本で広く行われているのは、楊名時(ようめいじ)師が開発したゆったりした動きの健康太極拳である。
八段錦:8種類の動きしかなく、左右対称の動きが多く、覚え易い。八段錦はわが国では太極拳とあわせて行われることが多く、なじみ深い気功である。
練功:首、肩、腰、膝、(くるぶし) などの動きをよくする中国版のストレッチ、柔軟体操といえる。気功の中では最も新しく、1975年に上海の中医(漢方医)荘元明(そうげんめい)らが開発した。
前段十八法は健康づくりに適しており、後段十八法は病気療養に適した動きである。通常行われる練功は前段十八法である。
●解説本(DVD付き)
 太極拳・八段錦→「DVDで覚えるシンプル太極拳」(楊名時監修、楊慧著/新星出版社)
 練功→「いきいき練功十八法」(武田幸子著/BABジャパン出版局)

演題:健康長寿と栄養-少食・粗食では長生きできない!

講師:新開 省二氏(東京都健康長寿医療センター研究所 副所長)    

【講師紹介】

新開氏1955年 徳島県生まれ
1980年 愛媛大学医学部卒業
1984年 同大学院医学研究科博士課程
1985年 国立公衆衛生院専門課程を修了後、カナダ・トロント大学医学部留学、愛媛大学医学部助教授を経て、
1998年 東京都老人総合研究所(現、健康長寿医療センター研究所)研究室長
2005年 研究部長
2015年 副所長
老年学・公衆衛生学を専門とし、一般高齢者を対象とした長期追跡研究により、老化プロセスの解明や健康長寿の施策づくりを行う。厚生科学審議会専門委員会「健康日本21(第二次)策定検討会」委員、東京都「福祉先進都市・東京の実現に向けた地域包括ケアシステムのあり方検討会議」委員など歴任。「NHKクローズアップ現代」や「たけしの健康エンターテイメント!みんなの家庭の医学」にもたびたび出演。
<受賞>
2006年 日本公衆衛生学会奨励賞
2007年 都知事賞(研究、発明・発見部門)、第9回川井記念賞(共同)など。
<著書・学術論文>
「50歳を過ぎたら「粗食」はやめなさい!」(草思社)の他、学術論文約300本。

【講演内容】

ふだん私は、一般高齢者を対象に疫学研究を行い、健康長寿の秘訣を探っています。健康長寿、すなわち元気で長生きするためには、いろいろな注意が必要ですが、特に重要なのは栄養、体力、社会参加の3つです。元気で長生きをされた方は、もともとよく食べ、よく動き、よく社会参加していました。逆に、ふだん少食で粗食傾向がある人や、歩く力や握力が弱い人、自宅に閉じこもりがちな人は、健康長寿は達成できていません。さらに、若・中年期はメタボを中心とした疾病予防が大切ですが、高齢期はフレイルにならない老化予防が重要になります。
本講演では、食・栄養を中心にして、日本人高齢者のデータから分かった健康長寿の秘訣をお話いただきました。
※フレイルとは、高齢期に生理的予備機能が低下する事で、ストレスに対する脆弱性が亢進し、さまざまな健康障害を起こしやすいハイリスクな状態を指す。


【百寿会事務局】
〒468-0065 名古屋市天白区中砂町310番地
めいらくグループ 波動医科学総合研究所内
電話:052-836-4364(月~金:9~17時) FAX:052-836-5220
Eメール:hyakuju@sujahta.co.jp

『昨年の講演内容』